社畜転生スローライフ ~神様に導かれ、小さな村で畑を耕す~⑯【AI】

小説・創作

第16章:春の訪れと、新たな命

雪が解け、風が柔らかくなった。 畑の土はしっとりと湿り、春の匂いを放っている。

「やっと春が来たね!」 リナが腕まくりをして、土をならし始めた。 ガルドは木製の柵を修理し、レオは新しい種を選んでいる。 ルナは丘の上で祈りを捧げ、風を呼んでいた。

俺は鍬を手に取り、深く息を吸い込む。 あたたかい陽射しと、優しい風。 “働く”ことが、こんなに心地いいなんて、前世では考えられなかった。

新しい命の兆し

畑を耕していると、ルナがふと空を見上げた。 「……風が運んでいます。新しい命を。」 その言葉の直後、遠くの林からかすかな鳴き声が聞こえた。

「……赤ちゃんの声?」 リナが耳を澄ませる。

俺たちは声のする方へ駆けた。 木陰の下、毛布に包まれた小さな赤ん坊が眠っていた。

「どうして、こんなところに……」 リナが膝をつき、そっと抱き上げる。 赤ん坊は目を覚まし、小さな手で風を掴むように空を仰いだ。

その瞬間、春風がふわりと吹き抜けた。 ルナが目を見開く。 「……この子、風の加護を持っています。」

村の新しい家族

村に戻ると、皆が赤ん坊を囲んだ。 「こんな小さな命が、この風に運ばれてきたんだな。」 ガルドが目を細める。

ルナは優しく頷いた。 「風の神が、“次の希望”として遣わしたのでしょう。」 「じゃあ……この子の名前、どうする?」 リナの問いに、俺は少し考えた。

「風が運び、春に生まれた命……“ハル”なんてどうだ?」 「いいね!」 リナが笑い、赤ん坊――ハルはまるで応えるように小さく笑った。

穏やかな日々

ハルを育てながらの生活は、忙しくも楽しかった。 リナはミルクを作り、ガルドは子守唄を教え、ルナは風であやした。 俺は畑の合間に小さな木のゆりかごを作った。

「ねぇ、こうしてると、本当の家族みたいだね。」 リナが言う。 俺は笑いながら答えた。 「もう家族だよ。村のみんなが、ハルの家族さ。」

ハルは風の中で眠り、光の花がその周りで咲いていた。 その光景に、ルナは小さくつぶやいた。 「……この村は、本当に“命の村”になりましたね。」

風の予兆

その夜、俺の夢に、あの神の声が再び響いた。

『命は巡り、風は導く。 だが、新しい命は“光”と“影”を共に背負う。 次に吹く風が、試練となるであろう。』

目を覚ますと、窓の外で風が強く吹いていた。 まるで春の訪れを祝うように―― けれど、どこか胸騒ぎのする風だった。


次回予告:第17章「影を連れた旅人」

平和な春の日々の中、村に現れた一人の旅人。 彼の背にある“影”が、やがて村の運命を大きく変えていく――。


コメント

タイトルとURLをコピーしました