福岡・博多の屋台と太宰府天満宮の旅
博多の夜と学問の神様
宮島の朝は静かだった。
海の上に浮かぶ鳥居は、朝の光の中で穏やかに立っている。
昨日の夕焼けとはまた違う、落ち着いた景色だった。
相沢悠真はフェリー乗り場の近くで立ち止まり、最後にもう一度海を眺めた。
「次は九州か……」
旅は少しずつ西へ進んでいる。
日本地図の上で見ると、まだ半分も進んでいない。
それでも、すでにたくさんの景色を見てきた。
京都の静かな寺院。
奈良の鹿。
大阪の賑やかな街。
そして宮島の海。
悠真は小さく息を吐き、フェリーへ乗り込んだ。
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九州へ向かう新幹線
広島駅から博多までは新幹線で約一時間。
列車は滑るように西へ進んでいく。
窓の外には瀬戸内の山々が続く。
時折見える海が、キラキラと光っていた。
「次はどんな街なんだろう」
悠真は少し楽しみになっていた。
福岡は食べ物が美味しい街だと聞いている。
博多ラーメン。
屋台。
明太子。
考えるだけでお腹が空きそうだった。
やがて車内アナウンスが流れる。
「まもなく博多、博多です」
列車はゆっくりとスピードを落とした。
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博多の街
駅を出ると、空気が少し違っていた。
海の街特有の、どこか湿った風。
そして街の活気。
大阪とはまた違う賑わいだった。
駅前には高いビルが並び、バスや車が行き交っている。
しかしどこか、ゆったりした空気も感じられる。
悠真は荷物を持って歩き出した。
まずは街を散策することにした。
商店街にはラーメン屋が並んでいる。
豚骨スープの香りが漂う。
その香りだけで、食欲が刺激された。
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博多ラーメン
暖簾をくぐると、小さな店だった。
カウンター席が並び、すでに何人かがラーメンを食べている。
「いらっしゃい」
店主が声をかけた。
悠真はカウンターに座り、ラーメンを注文した。
しばらくすると、白い湯気を立てた丼が目の前に置かれた。
白濁した豚骨スープ。
細い麺。
ネギとチャーシュー。
シンプルな見た目だった。
しかし一口食べると、濃厚な旨味が広がる。
「うまい……」
思わず声が漏れた。
スープは濃いのに、しつこくない。
麺は細く、するすると口に入る。
気づけばあっという間に食べ終わっていた。
店主が笑った。
「替え玉する?」
悠真は思わず頷いた。
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博多の屋台
夜になると、街の雰囲気が変わった。
川沿いに、小さな屋台が並び始める。
赤い提灯。
湯気。
人々の笑い声。
それが博多の屋台だった。
悠真は一つの屋台の前で足を止めた。
「どうぞ、空いてますよ」
店主が声をかける。
椅子に座ると、すぐに料理が並び始めた。
焼き鳥。
おでん。
ラーメン。
隣の客と自然に会話が始まる。
それが屋台の面白さだった。
「観光ですか?」
隣の男性が聞いた。
「日本を旅してるんです」
悠真は答えた。
「いいですねぇ」
男性は笑った。
「福岡は気に入りました?」
「すごく」
悠真は素直に言った。
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太宰府天満宮
翌朝、悠真は電車に乗り太宰府へ向かった。
目的地は太宰府天満宮。
学問の神様として有名な神社だ。
参道には多くの店が並んでいる。
梅ヶ枝餅の香ばしい匂いが漂う。
人々が楽しそうに歩いていた。
やがて神社の鳥居が見えてくる。
大きな池。
赤い橋。
静かな境内。
悠真はゆっくり歩きながら、本殿へ向かった。
手を合わせる。
特別な願いがあるわけではない。
ただ、この旅が良いものになるように。
そんなことを心の中で思った。
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再会
境内を歩いていると、どこか見覚えのある人影があった。
カメラを持った女性。
振り返った瞬間、目が合った。
「やっぱり」
彼女は笑った。
「また会いましたね」
悠真も笑う。
「もう偶然じゃない気がします」
「旅人のルートが似てるんでしょうね」
彼女はそう言ってカメラを構えた。
「次はどこへ?」
「熊本に行こうと思ってます」
悠真は答えた。
「熊本城を見たいんです」
彼女は少し驚いた顔をした。
そして笑った。
「私も同じです」
二人は顔を見合わせて笑った。
旅はまだ続く。
そして次の街でも、きっと新しい景色が待っている。
日本の旅は、まだ終わらないのだった。

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