社畜転生スローライフ ~神様に導かれ、小さな村で畑を耕す~⑰【AI】

小説・創作

第17章:影を連れた旅人

春の陽射しが村を包む中、一人の旅人がやって来た。 背中には古びたマント、腰には錆びた剣。 その男は、風を避けるように静かに歩いていた。

「……旅人さん、どこから来たんですか?」 リナが声をかける。 男はしばらく黙ってから、小さく答えた。 「西の都……滅びた国からだ。」

その言葉に、ルナが目を見開く。 「滅びた……“風の都フェルゼ”から?」 男は頷いた。 「……俺は、あの国の生き残りだ。」

名もなき影

男の名はカイル。 日が沈むころ、焚き火を囲んで彼は語り始めた。

「俺たちの国は、黒霧に呑まれた。 霧を止めるはずの“風の結界”が破られ、精霊たちが消えていった。」

レオが眉をひそめる。 「その黒霧、北の村で見たやつと同じかもしれない。」 カイルは頷いた。 「……おそらく。あれは“影の王”の仕業だ。」

焚き火の炎が揺れ、風が静かに吹く。 「影の王……?」 ルナが小さくつぶやく。

「闇の中に生まれ、神々の光を喰らう存在。 奴が完全に目覚めれば、この世界の風は止む。」

一同が息を呑んだ。 けれど、カイルの瞳はどこか優しかった。 「……俺は、滅びの中で一つだけ“風の欠片”を持ち出した。 これを……守るために旅をしている。」

彼が差し出したのは、淡い青の石だった。 中には小さな光が揺れている。

風の欠片

ルナがそれを手に取ると、風がざわめいた。 「これは……風の精霊の核。 まさか、まだ残っていたなんて……!」

石が光り、ハルのゆりかごの上に風が集まる。 赤ん坊が目を開け、小さく笑った。 その笑みに、石がさらに輝きを増す。

「……この子の加護と、共鳴している。」 ルナが驚いた声を上げる。 カイルは目を細めた。 「そうか……。この村は、“風の源”に選ばれた場所なのかもしれないな。」

影の訪れ

その夜、突如として風が止んだ。 木々がざわめきをやめ、空に黒い雲が広がる。

「……この気配、まさか!」 ルナが立ち上がると、遠くの丘の上に“影の人影”が現れた。

輪郭は曖昧で、まるで霧が人の形を取ったようだった。 「我は“影”。 風の加護を拒みし者どもよ……その光を差し出せ。」

ガルドが前に出る。 「ふざけんな! この村は渡さねぇ!」 レオが剣を構え、ルナが風を呼び出す。

だが、影は笑った。 「ならば……お前たちの“絆”を試させてもらおう。」

その瞬間、黒い風が吹き荒れた。 視界が歪み、俺たちはそれぞれ別の場所に飛ばされた。

俺の耳に、誰かの声がかすかに響く。 ――「“光”を見失うな。影の中にも、風はある。」


次回予告:第18章「影の試練」

影の風に囚われ、それぞれが孤独と向き合う。 過去、後悔、願い――それらを超えた先に、“真の加護”が芽吹く。 風の試練、始まる。


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