社畜転生スローライフ ~神様に導かれ、小さな村で畑を耕す~⑭【AI】

小説・創作

第14章:黒霧の村と消えた祈り

朝靄の中、俺たちは北の村へ向けて出発した。 風は冷たく、まるで“何か”を警告しているようだった。

ルナが杖を握り、リナが荷車を押す。 レオは剣を背に、前を歩く。 ガルドは肩に大きな荷物を背負いながらも、どこか笑っていた。

「やっぱり外の空気は違うな。畑の匂いがしない。」 「それ、普通に考えたら当たり前ですよ!」 リナが苦笑する。 そんなやり取りに、少しだけ緊張がほぐれた。

黒霧の境界

昼過ぎ。 山を越えると、そこにはまるで夜のような“黒い霧”が広がっていた。

「……これが、“魔素雲”の影響……?」 ルナが息を呑む。 霧の中からは、ひんやりとした風と、耳鳴りのような低音が響いていた。

「下手に踏み込めば、魂まで引かれるぞ。」 ガルドの声は真剣だった。

俺はポーチから“光の花”の種を取り出した。 「これを……植えよう。 命の光があれば、霧を祓えるかもしれない。」

土を掘り、種を埋め、手を合わせた。 瞬間、掌が緑に光る。 温かい風が吹き抜け、霧の一部が溶けるように消えていった。

「……すごい……!」 リナの声が震える。 「まだ村全体を覆うほど強いけど……これなら、道を作れる。」 ルナが杖を振り、風の精霊を呼び寄せる。

俺たちは、“命の花”の光を頼りに霧の中へと進んだ。

沈黙の村

霧の奥には、ひっそりとした村があった。 人影はない。 扉は開け放たれ、井戸には黒い膜が張っている。

「……まるで時間が止まってるみたい。」 リナが呟く。

レオが耳を澄ませた。 「誰かの気配がする。……でも、遠い。」

その瞬間、鐘の音が響いた。 “ゴォォォン……” 村の中心にある教会から、低く、重く、くぐもった音。

俺たちは顔を見合わせ、教会へと走った。

祈りの残響

扉を押し開けると、中は静寂に包まれていた。 祭壇の前には、黒いローブのような影が一体、ひざまずいている。

「……誰だ?」 レオが剣に手をかける。

その影がゆっくりと振り向いた。 顔は見えない。だが、かすれた声が響く。

「創生の……加護を……持つ者か……」 「えっ……?」 「どうか……この村を……“忘れないで”……」

そう言うと、影は静かに崩れ、灰のように消えていった。

祭壇には、一本の“枯れた光の花”が残されていた。

リナが涙をこぼす。 「この村の人たちも……光を信じてたんだね。」

光の再生

俺はそっと枯れ花を手に取り、地に埋めた。 そして、加護の力を流し込む。

「……もう一度、咲いてくれ。」 やがて、淡い緑の光が花を包む。 黒い霧が溶け、空に青が戻り始めた。

「……消えた祈りは、きっと届いた。」 ルナが微笑む。

俺は空を見上げてつぶやいた。 「そうだな。誰かが祈ったこの世界を、俺たちが守っていくんだ。」


次回予告:第15章「風を継ぐ者たち」

黒霧の村を救い、再び平穏を取り戻した一行。 しかし、“風の巫女”ルナに新たな使命が告げられる。 風の精霊が選ぶ、次なる“継承者”とは――。


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