社畜転生スローライフ ~神様に導かれ、小さな村で畑を耕す~⑬【AI】

小説・創作

第13章:遠くの空からの影

再生の宴から数日。 村はいつも通り、静かで穏やかな朝を迎えていた。

レオが畑を耕し、リナがスープを煮込み、ルナが風の精霊と語り合う。 その光景はまさに、“理想のスローライフ”だった。

けれど——その穏やかさの中に、わずかな違和感が混じっていた。

黒い雲

昼過ぎ。ルナが空を見上げて、眉をひそめた。 「……風の流れが、変です。」 彼女の笛が鳴り、風の精霊たちがざわつく。

見上げると、遠くの空に黒い雲の塊が見えた。 不自然な形。 まるで“意志”を持っているように、ゆっくりと動いている。

「ただの嵐じゃないな。」 ガルドが腕を組んで唸る。 エリアが静かに呟いた。 「……あれは、“魔素雲(まそぐも)”。 古の王国が滅びた時に、封印された呪いの残滓です。」

村人たちの間に、ざわめきが走った。

古の王国の記憶

その夜。 焚き火を囲んで、エリアが語り始めた。

「昔、この世界には“創生の神”と“支配の神”が共に存在していました。 けれど、支配の神が力を求めすぎた結果、王国は滅び、 その怨念が魔素雲となって空を彷徨っているのです。」

俺は息を呑んだ。 「じゃあ、王都のセリオス卿の加護も……?」 エリアがうなずく。 「ええ。“管理の加護”は、支配の神の残光。 だからこそ、あの時あなたが勝利したのです。 でも、残滓は消えていません。」

リナが不安そうに問う。 「私たちの村にも、危険が……?」 「まだ直接の脅威ではありません。けれど、風が呼んでいます。」 ルナの瞳が揺れた。 「……“風の巫女”として感じます。近いうちに、何かが起きる。」

影の落ちる夜

夜更け。 俺はひとり、畑の見回りに出た。 月明かりの下、風が妙に冷たい。

耳を澄ますと、かすかに声が聞こえた。 “……創生の加護よ……流れを断つな……” 土の中から響いているような、不思議な声だった。

俺はしゃがみこみ、土を撫でた。 「大丈夫だ。ちゃんと守るよ。」 そう言った瞬間、手のひらが微かに光った。

緑の加護の光が、黒い風を押し返していく。 けれど、その奥で確かに“何か”が目覚めかけていた。

翌朝の便り

翌朝、ルナが慌てて駆け込んできた。 「大変です! 北の村が……黒い霧に包まれて……!」

俺たちは顔を見合わせた。 レオが拳を握る。 「俺たち、助けに行きましょう!」 リナも頷く。 「そうだよ、あの人たちにも“光の花”を届けなくちゃ!」

ガルドが静かに立ち上がる。 「よし、久々の出張だな。村のためだけじゃねぇ、人のために動く時だ。」

俺はみんなを見回し、微笑んだ。 「……行こう。俺たちの“風と命の村”から、希望を届けに。」


次回予告:第14章「黒霧の村と消えた祈り」

北の村に広がる黒い霧。その中で待つのは、かつて神々に見放された民。 命の加護と風の巫女が、闇の中で新たな光を探す。


コメント

タイトルとURLをコピーしました