第11章:風の便りと、村の再生
王都の試練を終えて数週間。 俺たちは再び、あの懐かしい小さな村へと帰ってきた。
「ただいま!」 門をくぐると、リナとレオ、そして村の皆が笑顔で迎えてくれた。 エリアが柔らかな風を起こし、空気がほっと緩む。
「おかえりなさい。王都はどうでしたか?」 リナが尋ねる。 俺は少し照れながら笑った。 「うん……やっぱり、ここが一番落ち着くよ。」
風の便り
王都から帰る途中、俺は“風の便り”を受け取っていた。 それは、神様からの小さな声だった。
『創生の子よ。お前の村には、次の芽吹きが訪れる。 風が運ぶ新しき命を、迎え入れなさい。』
その言葉を思い出しながら、畑を見渡した。 新しい風が吹いていた。 まるで、“何かが始まる予感”を告げているように。
旅の少女
その日の午後。 村の入口に、一人の少女が立っていた。 年は十五、いや、もう少し幼いかもしれない。 白いマントの裾を押さえながら、彼女は名を名乗った。
「私はルナ。風を読む者です。あなたが“命の加護”の主ですか?」
彼女の背には、小さな風の精霊が舞っていた。 エリアがその姿を見ると、驚いたように息をのんだ。
「……まさか、風の巫女族の末裔?」 ルナは静かにうなずいた。 「私たちの一族は、風の神を祀る民。でも、もう村はありません。 だから……風に導かれて、ここに来ました。」
再生の風
ルナは風の力を使い、枯れた木々の種を遠くへ飛ばした。 翌朝、村のあちこちで芽が顔を出した。 それはまるで、村全体が息を吹き返したかのようだった。
リナが感嘆の声をあげる。 「すごい……まるで森が笑ってるみたい!」 レオも手を握りしめていた。 「俺、ルナさんに風魔法を教えてもらってもいいですか?」 ルナは優しく笑った。 「もちろん。風は誰にでも寄り添ってくれます。」
俺は空を見上げた。 王都で感じた張りつめた空気とは違う。 ここには、土の匂いと人の笑い声がある。 ——これが、俺の選んだ“生き方”だ。
村の再生
日が暮れるころ、エリアが言った。 「村は、風と土の加護で完全に蘇りました。 でも本当の再生は、“心”が繋がることです。」
リナがスープをよそいながら笑った。 「じゃあ、今日から“風と畑の再生祭”にしよう!」 村の中央に焚き火が灯り、みんなが笑顔で囲む。
ルナが小さな笛を吹き、優しい風が火を包み込んだ。 焚き火の光が夜空に溶けていく。
俺は心の中でつぶやいた。 「この世界に来て、本当によかった。 誰かの笑顔を見ながら過ごす一日が、これほど尊いなんて——。」
次回予告:第12章「風と光の宴」
村が再生した夜、神々の加護が共鳴する。 風、光、そして“命”がひとつになる祝宴の幕が上がる。


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