第1章:転生、そして小さな畑から
気がつくと、青空が広がっていた。
胸の奥がふっと軽くなり、どこか懐かしい風が頬をなでる。目をこすりながら起き上がると、目の前には広い草原と、遠くに連なる山々。どうやら、ここは見知らぬ世界らしい。
——ああ、俺は……死んだんだっけ。
思い出すのは、終わりのない残業、電話の音、上司の怒鳴り声。 「これが終わったら休もう」そう言い聞かせた矢先に、心臓が止まった。
その後、白い空間で出会ったのは、どこか優しい雰囲気の神様だった。
「お疲れさまでした、人間よ。君はよく頑張った。次はのんびり生きてみないか?」
そう言われて、気づけば俺はこの草原に立っていた。
見知らぬ土地と、不思議な力
手の中には、木製のスコップと小さな袋。中には、見たことのない種が数粒入っている。 「……これで、農業しろってことか?」
近くに流れる川のほとりに、小さな空き地を見つけた。試しに土を掘って種を植え、水をかける。 すると、ほんの数分で芽が出た。
「はっ? 早すぎだろ……」
驚きつつも、どこか胸の奥が温かくなる。 働かされるためじゃない。自分のために、土を触っている——それが、こんなにも楽しいなんて。
新しい暮らしの始まり
日が暮れるころ、遠くの林から小さな影が現れた。栗色の髪に大きなリュックを背負った少女だ。
「こんにちは! あなた、新しく来た人? この辺り、村を作ろうとしてる人を探してたの!」
彼女の名はリナ。旅の途中で住む場所を探しているらしい。 話をするうちに、自然と意気投合し、二人で力を合わせて暮らしていくことに決めた。
「……よし、まずは小屋を建てて、畑を広げようか。」 「うん! 私、料理得意だから任せて!」
こうして、社畜としての過去を捨てた俺の、第二の人生が始まった。 名もなき土地で、小さな畑からはじまる穏やかな日々が——。
次回予告:第2章「森の恵みとリナの料理」
初めての収穫、そして二人の前に現れる新たな仲間とは?
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