奈良公園の鹿と東大寺の大仏 ― 古都奈良の旅
鹿と古都の朝
京都の朝は静かだった。
旅館の障子から、柔らかな光が差し込んでいる。
相沢悠真は布団の上でゆっくりと目を開けた。
時計を見ると、まだ朝の六時だった。
普段の生活なら、通勤電車に乗るため慌ただしく準備している時間だ。
しかし今日は違う。
予定は何もない。
ただ、旅があるだけだ。
「奈良……行ってみるか」
昨日、清水寺で出会った女性の言葉が頭に浮かんだ。
「奈良に鹿を見に行くんです」
それだけの理由で十分だった。
悠真は荷物をまとめ、京都駅へ向かった。
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近鉄電車
京都駅の朝は、すでに人で賑わっていた。
観光客、通勤客、学生。
さまざまな人が行き交っている。
悠真は近鉄のホームに立っていた。
奈良へ向かう電車は、思ったよりもシンプルな車両だった。
新幹線のような特別感はない。
しかし、それが妙に旅らしい。
電車は静かに発車した。
京都の街並みがゆっくりと遠ざかっていく。
やがて景色は住宅街から田園風景へ変わった。
遠くには低い山並み。
空は澄んだ春の青。
「こういう景色、久しぶりだな」
悠真は窓に肘をつきながらつぶやいた。
都会の生活では、窓の外を見る余裕すらなかった。
しかし今は違う。
時間がゆっくり流れている。
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奈良公園
電車に揺られて一時間ほど。
奈良駅に到着した。
京都とはまた違う、落ち着いた雰囲気の町だった。
駅前からバスに乗り、奈良公園へ向かう。
そして公園に入った瞬間だった。
「うわ……」
思わず声が漏れた。
そこには、鹿がいた。
一頭や二頭ではない。
何十頭もの鹿が、公園の中を自由に歩いている。
観光客が鹿せんべいを持つと、鹿たちは一斉に近づいてくる。
「これが奈良の鹿か……」
悠真は少し笑った。
すると一頭の鹿が、ゆっくりと近づいてきた。
黒い瞳でじっと見つめている。
「欲しいのか?」
近くの屋台で鹿せんべいを買う。
差し出すと、鹿はぺろりと食べた。
その瞬間、別の鹿が三頭ほど集まってきた。
「ちょっと待て、そんなにないぞ」
しかし鹿たちはお構いなしだった。
悠真は笑いながらせんべいを配った。
気づけば周りの観光客も笑っている。
不思議だった。
知らない人たちなのに、同じ場所で笑っている。
それだけで少し世界が優しく見えた。
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東大寺
奈良公園の奥へ進むと、巨大な門が見えてきた。
南大門。
圧倒的な大きさだった。
木造とは思えない迫力。
その門をくぐると、さらに巨大な建物が現れる。
東大寺大仏殿。
世界最大級の木造建築と言われる寺院だ。
悠真はゆっくりと中へ入った。
そして目の前に現れた。
巨大な仏像。
奈良の大仏。
高さ十五メートル。
人間とは比べものにならない大きさだった。
悠真はしばらく言葉を失った。
千年以上前に作られたもの。
それが今もここにある。
歴史の重みというものを、初めて実感した気がした。
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再会
大仏殿を出たときだった。
「あれ?」
聞き覚えのある声がした。
振り返る。
そこにいたのは、昨日清水寺で会った女性だった。
カメラを首から下げている。
「やっぱり来たんですね、奈良」
彼女は笑った。
「あなたも」
「鹿、見ました?」
「囲まれました」
「あはは、それ奈良あるあるです」
二人は並んで歩き始めた。
「ところで、次はどこへ行くんですか?」
彼女が聞いた。
「まだ決めてません」
「いいですね、それ」
彼女は少し考えてから言った。
「大阪はどうです?」
「大阪?」
「奈良からすぐですよ。食べ物が最高です」
悠真は少し笑った。
「じゃあ、大阪にしてみます」
「決まりですね」
彼女は嬉しそうに言った。
「私も大阪へ行く予定なんです」
「また一緒ですね」
「日本って意外と狭いんですよ」
彼女はそう言って空を見上げた。
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夕暮れの奈良
奈良公園の夕方。
空は淡いオレンジ色に染まっていた。
鹿たちはゆっくりと草を食べている。
観光客の姿も少なくなっていた。
悠真はベンチに座り、静かな公園を眺めていた。
京都。
奈良。
まだ旅は二日目だ。
しかし、すでにたくさんの景色を見てきた。
知らない町。
知らない人。
そして、知らなかった日本。
「次は大阪か」
悠真は小さくつぶやいた。
旅はまだ続く。
日本には、まだ見ていない景色が無数にある。
そして、その一つ一つが新しい物語になっていくのだった。

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