スローライフ小説:風の音だけが教えてくれること【AI】

小説・創作

風の音だけが教えてくれること

朝、目を覚ますと、まず風の音を探すようになった。
カーテンを揺らすかすかな気配が、今日という一日の始まりを教えてくれる。

ここに引っ越してきて、もう半年が経つ。
町外れの古い平屋。最寄りのコンビニまでは歩いて二十分。
以前の生活では考えられない距離だ。

都会にいた頃、僕は常に時間に追われていた。
電車の発車時刻、会議の開始時間、締切の数字。
一日が終わるころには、何を感じたのかさえ思い出せなかった。

ここでは違う。
時計を見なくなった代わりに、空を見るようになった。
雲の流れで時間を知り、鳥の声で季節を感じる。

朝食は決まって、焼いたパンと、ゆっくり淹れたコーヒー。
湯気が立ち上るのを、何も考えずに眺める。
それだけで、心が静かになる。

午前中は畑の手入れをする。
うまく育たない野菜も多いが、それも悪くない。
土に触れると、自分が生きていることを思い出す。

昼は簡単な食事をとり、縁側で昼寝をする。
風が頬をなで、遠くで犬が吠える。
夢と現実の境目が、あいまいになる時間だ。

夕方になると、空がゆっくり色を変える。
オレンジから紫へ、その移ろいを見届けるのが日課になった。

夜は本を読み、早めに布団に入る。
何もしなかった一日を、失敗だとは思わない。
何もしなかったからこそ、満たされている。

ここで暮らして学んだことがある。
幸せは、大きな出来事の中にはない。
気づこうとしなかった、小さな音の中にある。

今日も風が吹く。
それだけで、この一日は十分だ。

ー完ー


iroha-nihohe
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【スローライフ小説】朗読:風の音だけが教えてくれること


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